目次
戦線の停滞と形勢逆転(1942.4-1943.2)
1942(昭和17)年7月頃まで日本軍は各所で勝ちを進めます。5月にはフィリピン・コレヒドール島にたてこもるアメリカ軍が降伏。7月にはフィリピン全土を占領します。5月、ビルマ(現ミャンマー)を制圧し、ここに南方作戦が完了します。
また、ミッドウェー海戦(後述)と併せて実施された作戦で、6月にはアリューシャン列島のアメリカ・アラスカ州のアッツ島・キスカ島を占領し、太平洋戦線は熱帯地域から北方の寒冷地にまで及ぶようになりました。
日本軍が勢いよく勝ち進む一方で、アメリカ軍は反撃の準備を整えていました。1942年4月、太平洋はるか沖合より、アメリカ軍空母から大型爆撃機が出撃し、東京をはじめとする日本の各都市を爆撃しました(ドーリットル空襲)。
爆撃そのものの効果はさほど大きくありませんでしたが、アメリカでは日本本土の空襲が成功したことによって、国民の戦意が向上し、また日本にとっては本土防衛の必要性を強く感じさせるものでした。
太平洋上では、真珠湾攻撃以来初めて大規模に日米の海軍戦力が激突します。1942年5月、オーストラリア北東沖の珊瑚海(さんごかい)で日米空母同士の航空戦が起きます(珊瑚海海戦)。
これは史上初の、空母同士がお互いの姿を見ないまま戦う航空戦でした。この戦いは双方空母1隻が撃沈され、1隻が大破。艦船の損害はアメリカ軍の方が大きいものでしたが、日本海軍も多くの航空機並びにパイロットを失い、この方面でのその後の進出に歯止めがかかる結果となりました。
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日米形勢逆転の重要ポイント:ミッドウェー海戦
さらに6月、ハワイ西方沖のミッドウェー島周辺で大規模な海戦が起きます。ハワイ攻略を計画した日本軍は、その前哨戦としてミッドウェー島の攻略およびアメリカ空母機動部隊の壊滅を狙います。
その計画をあらかじめ暗号解読によって察知したアメリカ軍は、空母をミッドウェー島周辺に配備し、待ち伏せしました。この海戦で日本軍は出撃した空母4隻全てと、多くの航空機、優秀なパイロットを失う結果となりました(ミッドウェー海戦)。
この結果、日本海軍は空母部隊に壊滅的な打撃を受け、立て直しに長い時間がかかることとなりました。また、この敗戦の結果は、国民に真実が知らされることはありませんでした。軍内部でも厳しい情報統制が敷かれ、海戦の結果は一部の高級将官のみが知るところとなります。
ミッドウェー海戦は、日米の太平洋における攻守が交代する決定的な戦闘となりました。また、この後ずっと日本は国民や多くの軍人・政治家でさえも戦争の実態を知らされず、負け戦を続けていくこととなります。
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アメリカ軍の本格的反攻開始:ガダルカナル島の戦い
アメリカ軍は1942年8月、本格的に太平洋での反攻に出ます。日本海軍が前線基地として整備し始めた、ソロモン諸島のガダルカナル島に奇襲攻撃を仕掛け、飛行場を奪います。
この飛行場奪回のために、日本軍は8月に2回、陸軍の部隊を上陸させ、攻撃を仕掛けましたが、2回ともほぼ全滅します。
ガダルカナル島のアメリカ軍基地はますます増強され、これを取り戻すことはさらに困難になっていきます。日本軍は取り残された部隊への補給やさらなる部隊の補給をたびたび試みますが、そのたびに空襲や潜水艦の攻撃に遭い、補給のための軍艦や物資も多くが沈められてしまいました。
最終的に1942年12月31日の御前会議で、ついにガダルカナル島からの撤退が決定。ガダルカナル島からの撤退作戦は翌1943(昭和18)年2月、3度にわたって行われ、島に取り残されていた約1万人の将兵の撤退が完了します。ガダルカナル島で戦病死した日本軍将兵は2万人以上にのぼったと言われています。
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💡 大平洋戦争の流れ 目次
➡ ページ1 開戦前(1914-1941.11)
➡ ページ2 開戦と攻勢(1941.12-1942.4)
➡ ページ4 追いつめられる日本(1943.3-1945.1)
➡ ページ5 降伏への道(1945.2-1945.9)
本ページに関連する年表
1942年
4月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
5-9 | 軍事 | 日本軍、セイロン(現スリランカ)コロンボの英軍基地を空襲・セイロン沖海戦 | - | |
18 | 軍事 | 米空母から発信したB-25爆撃機による日本各地の空襲(ドーリットル空襲) | - |
5月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
3 | 軍事 | 日本軍、ソロモン諸島ツラギ占領(MO作戦開始) | ||
4 | 軍事 | ★日本軍、ビルマ制圧完了=南方作戦完遂 | ||
7-8 | 軍事 | ★アメリカ領フィリピン・コレヒドール島のアメリカ軍降伏 | ||
軍事 | ★珊瑚海海戦 | |||
10 | 軍事 | 日本軍、フィリピン ミンダナオ島占領 | ||
31 | 軍事 | 日本軍の特殊潜航艇、オーストラリア シドニーのイギリス軍艦艇を攻撃 | - |
6月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
5-7 | 軍事 | ★ミッドウェー海戦 | ||
7 | 軍事 | 日本軍、アリューシャン列島キスカ島に上陸、占領 | ||
8 | 軍事 | 日本軍、アリューシャン列島アッツ島に上陸、占領 | ||
16 | 軍事 | 日本軍、ニューギニア島ポートモレスビーの連合軍基地を空襲 | - | |
20-21 | 軍事 | 日本軍潜水艦、カナダ、アメリカ本土の軍基地を砲撃 | - |
7月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
- | 軍事 | ★日本軍、フィリピン全土占領 |
8月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
7 | 軍事 | ★アメリカ軍、ソロモン諸島のガダルカナル島、ツラギ島、ガブツ島、タナンボゴ島に上陸 | ||
8 | 軍事 | 第一次ソロモン海戦 | ||
21 | 軍事 | 日本軍 一木支隊先遣隊(いちきしたい せんけんたい)、ガダルカナル島飛行場奪回作戦 | ||
24 | 軍事 | 第二次ソロモン海戦 | - |
9月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
12 | 軍事 | 日本軍川口支隊、ガダルカナル島飛行場奪回作戦 | ||
15 | 軍事 | 日本軍伊19潜水艦、アメリカ空母ワスプを撃沈 | - |
10月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
11 | 軍事 | サボ島沖海戦 | - | |
13 | 軍事 | ガダルカナル島ヘンダーソン基地艦砲射撃 | - | |
14 | 軍事 | 日本軍、ガダルカナル島輸送作戦 | ||
24-25 | 軍事 | 日本軍第二師団、ガダルカナル島アメリカ軍基地夜襲 | ||
26 | 軍事 | 南太平洋海戦 | ||
- | 政治 | 中国・重慶でイギリス、アメリカ、中国、ソ連の対日本作戦会議 | - | - |
- | 政治 | イギリス、アメリカ、中国における治外法権撤廃を声明、不平等条約を廃止 | - | - |
11月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
12-15 | 軍事 | 第三次ソロモン海戦 | - | |
13 | 軍事 | 日本軍第38師団ガダルカナル島輸送作戦 | ||
30 | 軍事 | ルンガ沖夜戦 |
12月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
8 | 軍事 | ニューギニア島バサプアの日本軍全滅 | ||
- | 軍事 | 日本軍、ビルマで第一次アキャブ作戦 |
1943年(昭和18年)
1月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
15- | 軍事 | 日本軍、ガダルカナル島空襲 | - | |
29-30 | 軍事 | レンネル島沖海戦 |
2月
日 | 属性 | できごと | 戦略 | 戦術 |
1-7 | 軍事 | ★日本軍、ガダルカナル島撤退作戦(ケ号作戦) |