マレー沖海戦-戦争の概念を変えた作戦

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イギリス東洋艦隊出撃

シンガポールのイギリス東洋艦隊は、日本軍のマレー半島上陸に対し、軍艦による奇襲攻撃で日本の輸送船を沈めようと考えました。12月8日、イギリス東洋艦隊の主力である「戦艦プリンス・オブ・ウェールズ」「巡洋戦艦レパルス」と4隻の駆逐艦はシンガポールを出撃し、北上しました。しかしこの行動は日本軍の潜水艦や偵察機に発見されました。奇襲はできなくなったため、イギリス艦隊は港に引き返そうとしました。

 

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シンガポールに停泊するプリンス・オブ・ウェールズ (戦艦)
シンガポールに停泊する戦艦プリンス・オブ・ウェールズ

 

12月10日、日本軍が進駐していた南部仏印(南部フランス領インドシナ)のサイゴン(今のホーチミン市)周辺の航空基地より、合計85機の日本軍機が出撃。海軍が開発したこの九六式陸上攻撃機(九六陸攻)と一式陸上攻撃機(一式陸攻)は、大型爆弾や魚雷を搭載し、長距離を飛ぶことのできる攻撃機でした。この時イギリス軍はマレー半島の航空基地が日本軍の攻撃にさらされており、この艦隊に対して航空機による援護を出せませんでした。二隻の戦艦と四隻の駆逐艦は対空砲で激しく抵抗したものの、多数の魚雷と爆弾を受け、二隻の戦艦は沈没しました。

マレー沖海戦の略図
マレー沖海戦の略図。赤線がイギリス東洋艦隊の進路。
本土を飛行する一式陸上攻撃機
一式陸上攻撃機(本土上空飛行中の様子)

 

 

世界に衝撃を与えたマレー沖海戦

航空機による攻撃で当時の新鋭戦艦が撃沈させられたことは、真珠湾攻撃と並んで世界中に大きな衝撃を与えました。真珠湾ではアメリカ艦隊は停泊中でしたが、マレー沖ではイギリス艦隊は作戦行動中であり、戦艦の性能が海戦の勝敗を決めるという当時の認識を大きく揺るがすものでした。また、これらの戦艦はイギリス海軍の誇りであり、イギリス人の軍事力に関する自信につながっていました。首相のチャーチルは「戦争の全期間を通じて、これ以上のショックを受けたことはなかった」と回顧録に書いているほど、大きな「事件」であったと言えます。

日本軍機の空襲を受けるプリンス・オブ・ウェールズとレパルス
日本軍機の空襲を受けるプリンス・オブ・ウェールズとレパルス(左 二隻) 右手前はイギリス駆逐艦

 

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大捷マレー沖海戦 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 2)はマレー沖海戦の全貌をあますところなく伝える一冊です。作戦の全体像、日本・イギリス軍それぞれの思惑。戦略から戦術、そして主な登場兵器の紹介まで、これ一冊でマレー沖海戦の全体像が分かります。マレー沖海戦をより詳しく知りたい方はぜひお読みください。また、他に陸軍の南方作戦についても詳しく記述されています。

本項は大捷マレー沖海戦 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 2)を元に構成しました。



photo:Wikipedia, public domain

 

 


 

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